糖尿病、生活習慣病の専門医院 松本市・多田内科医院

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私が選んだ百人一首(三)

二十八 壬生忠岑 (生没年不詳)
風吹けば峰にわかるる白雪の絶えてつれなき君が心か
(風に吹きやられた白雲が峰から離れてゆくように、あなたの心も私から離れてしまった。ほんとうに無情なあなたよ)
 恋の歌でこれほど気品のある歌は珍しいと思う。過剰な嘆きや恨みなどが表出しておらず、嫌みなところが全くないところが良い。
 忠岑の詳しい事跡はわかっていない。身分の低い武官で、藤原定国(右大臣・定方の兄)の随身をしていた。古今集の撰者四人の一人に選出されるほど歌人としては名を得た。子は忠見(三十六番)で、これも有名な歌人である。即興の作歌に優れていたとか、古今集の長歌に我が身の悲嘆を詠っているなどの逸話があるほか、特に面白い話は残っていない。
 理知的な歌が多く残されており、私の好きな二首を挙げておきたい。
夢よりもはかなきものは夏の夜の暁がたの別れなりけり
(夢での逢瀬も儚いけれど、もっと儚く辛いもの、それは夏の短い夜が明けようとする頃の、恋人との別れであったよ)
わが玉を君が心に入れかえて思ふとだにも知らせてしがな
(私の魂をあなたの心に入れ替えて、恋しく思っていることだけでも知らせたい)
 小倉百人一首に掲出された一首は、藤原定家や藤原家隆が古今集第一の秀歌と認定しているほど評価が高い。
小倉百人一首 有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし 

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