1.食事療法
糖尿病食とは、特別な料理ではありません。いわゆる健康食のことです。
その人の体格や仕事の種類などによって、適切な摂取エネルギーがあります。つまり、その人の健康にとってカロリーは少なすぎてもいけないし、もちろん多すぎてもいけません。
バランスも重要です。糖質5~6割、蛋白質3割、脂肪2割ぐらいが適切です。簡単に言えば、肉の脂、揚げもの、天ぷらなどは少なくし、野菜を多く食べ、ごはんもしっかり食べることです。
1日2食は最も悪いやり方で、血糖は逆に上昇しやすくなります。ピーナッツ、かりんとう、ポテトチップスなどは高カロリー高脂肪の典型的な食べ物ですから、避けた方が良いでしょう。
2.運動療法
糖尿病の治療として、食事療法と運動療法は避けて通れないものです。運動による消費エネルギーそのものはごくわずかなものですが、実はあとからジワジワと効果が表れてくるのです。
一言でいうと、インスリンの働きが良くなって、血糖が下がります。
では、どういう運動が良いかというと、有酸素運動、すなわち軽い運動量を長い時間かけておこなうことです。
特にスポーツの趣味のない人は、歩くのが一番。1日にトータルで30分以上、1日5000歩以上がとりあえずの目標です。
車を使わないで、ちょっと用足しに10分ぐらい歩いても1000歩くらいになりますよ。
歩く際は、大股で、大きく手を振るのがコツです。
可能ならば、フィットネスクラブに通えば効率よく運動ができます。
水泳、プール歩行、バイク、ウォーキングマシン、筋力トレーニングなど、好きな組み合わせを選べるし、適切な指導も受けられます。
後でサウナやシャワーなど浴びれば、最高のリフレッシュになります。
私もやっています。
3.内服薬
内服薬は、軽いものから強力なものまで数多くの種類があり、作用機序もいろいろです。
- 腸の中で糖分の分解を遅らせ、食後の血糖上昇を抑える
- 主に脂肪細胞に作用し、インスリンの働きを改善する
- 主に肝に作用し、糖の産生を抑える
- 膵臓に作用し、インスリン分泌を短時間だけ促す
- 4. の作用が長く続き、最も強い薬
その人の体質に合った適切な薬を一種類あるいは複数の種類を内服してもらいます。
糖尿病が専門ではない内科医では適切な薬を処方できないことが多いわけですが、その人の体質・特徴に合った薬を選ぶことができるのは、糖尿病専門医の独壇場です。つまり、腕の見せどころです。
4.インスリン療法
インスリン療法は、体の中で足りなくなったインスリンというホルモンを、注射で補充する治療ですから、決して悪い治療ではなく、むしろ理想的な治療といっても良いのです。
自分で注射をするということに抵抗を感じる方もいるかと思いますが、実際はごく簡単な操作で、痛みを感じることもありません。
インスリン製剤はペン型の携帯型になっており、どこでも持ち運び自由です。
インスリン療法を勧めても、嫌がる患者さんが多いですが、実際にインスリン療法を行ってみると、「やってよかった」「こんなに簡単だとは思わなかった」「ずっと続けたい」という方がほとんどです。
では、どういう人がインスリン療法をおこなうかを挙げてみます。
- 1型糖尿病
- 血糖が著しく高い人(空腹時血糖が200mg/dl以上)
- 内服しても血糖の下がりが悪い人
- ケガや病気で入院したとき、一時的に行う
- 糖尿病の人が妊娠したとき