12月26日
夕方、成田ヒルトンホテルに着いた。ウイーンへの旅はもうすでに始まっているのだ。旅の初日が重要でないわけがない。海外に行く前日の晩はすしが食べたくなる。和食堂の一隅にすしのカウンターがあり、あまりおいしくもないすしを食べていた。派手な背広を着た50がらみの男が、けばけば衣装の女性を連れて、すし職人にヤアヤアと言いながらわたしの近くに座った。座るなりタバコを吸い始めた。(あれっ、禁煙じゃないのか:注 カッコ内は心の中の独り言)その男はわたしの視線を気にして、すぐにタバコを消した。しばらくすると、ケーシー高峰を若くしたような風采のあがらぬヤツが隣に座り、タバコとライターをぽんっとわたしのすぐ近くに置いた。その瞬間、わたしは席を起った。まだ食べている途中ではあったが。会計のところに店長らしき人がいたので、「すし屋なのに禁煙じゃあないんですか?」「和食の席は禁煙ですが、すしカウンターだけは常連さんの強い要望があるものですから」(ふざけるなっ:注 カッコ内は心の中の独り言)「すしカウンターで平気な顔をしてタバコを吸うようなロクデモナイヤツをなんでそんなに大事にするんですか。最低だな、この店は」「・・・・、貴重なご意見ありがとうございます」「ふんっ」すし、そば、うなぎ、フランス料理の店でタバコを吸う人および吸わせる店主を、わたしは絶対に信用しない。変ですかねえ、このわたし。しかしよく考えてみると、ヒルトンホテルといったって、所詮ここはがさつな千葉県民の町だもんな。(千葉県の人はいないでしょうねえ)