目立たない小さな店だが、名店である。この店に来ると、一度だけパリに行ったときに巡り会った“プチ・マション”というビストロを思い出す。ルーブル美術館裏の街角に建つ小じんまりしたレストランで、店内には黒板に手書きのメニューが掲げられており、いかにも地元のパリっ子に愛されているといった雰囲気が感じられた。この時隣のテーブルの常連の老紳士と夫人が勧めてくれた“団子入り魚介スープ”の味が忘れられない。ブランシェはこの店に似ている。小澤征爾氏やサイトウキネンの外国人メンバーや村上春樹氏などが常連であることが、私の中でこの店のランクをすこしばかり上げている要素になっている。
昼はランチセットもあり、特別メニューのオムライスがすばらしい。オーソドックスで上品で誰もがもう一度食べたくなるオムライスである。夜は3千円からのコースとアラカルトがあり、私はいろんな料理を注文して分け合ってワインを飲みながら食べるのが気に入っている。どの料理もあっさりとして食べやすく、味は抜群だ。気軽に本格的なフレンチ料理を楽しめるのはありがたい。もし、松本のフレンチレストランのランキングを作るとしたら、ブランシェは大型ホテルや有名レストランを凌いで上位にランクインされるであろう。
(松本市深志1-4-11、0263-34-8420)