人生という旅 / 小檜山博(河出文庫)★★★
この作家の本を初めて読んだ。自分の生い立ち、出会った人々、お世話になった恩人、人生に対する考え方など、平易な文章で綴ったエッセイ集だ。作者自身、解説のような文章は書きたくない、と述べており、なるほど何の飾りも衒いもない素直な文である。筆者の人生の在りようがこの一冊にすべて入っている。とくに印象的なのは彼の貧しい生い立ちだ。北海道の山奥の極貧農家に育ったので、教育や生活、経済的辛苦は想像を絶するものがある。出久根達郎も貧しい少年時代を売りにしているが、その比ではない。(平成29年6月)