糖尿病、生活習慣病の専門医院　松本市・多田内科医院

鳩の撃退法　上・下 ／ 佐藤正午（小学館）★★
　初めて読んだこの作家の「アンダーリポート」が面白かったので、最新号のこの本を手に取った。この小説も前作同様、独特の形式を取っている。物語の進行が現在と過去が行ったり来たりし、時間の使い方が変幻自在だ。元作家という主人公が現在進行形で原稿を書いているように進んでいく奇抜なものだ。主人公の知り合いの老人の形見の鞄に大金が入っていて、その中の１万円を使ってみたら偽札だったので大騒ぎになる。はたして全部が偽札なのか？このお金をどこで手に入れたのか？謎が複雑に絡みあうミステリーである。しかし、途中の展開が冗長であり、私はこの主人公の人間性を全く好きになれない。この作家の新作が出たらはたして買うかどうか迷うところだ。
（本書は今年度の直木賞を受賞した）（平成２９年３月）