日めくり七十二候 / 白井明大 (文春文庫)★★★
この歳になってはじめて七十二候を知った。二十四節気の各季節を三等分したものである。「桃始めて笑う」とか「蟋蟀(きりぎりす)戸に在り」などという奇妙な名前が多く、それらが珍しくもありまた新鮮にも感じられる。太陽暦に切り替わる明治五年まで千年以上も使われてきた暦であるという。日本人というものは日々、季節の細やかな移り変わりを感じながら、自然と生活が密接にかかわり合って来た民族なのだと改めて思う。それはもちろん現代にも通じるものである。この本はその暦に沿って365日1日1ページ、その日にまつわる味覚や行事、ならわし等を紹介している。今年の正月から1日1ページと決めて読んできたこの本を、少し早目に読み終えた今、5年連用日記の欄外にこの七十二候を書き加えてみようと思う。(平成28年12月)