居眠り磐音 江戸双紙4 雪華ノ里 / 佐伯泰英(双葉文庫)★★★
佐伯泰英という作家が池波、藤沢両巨頭の後を継ぐ時代小説の大家になるかもしれないという評判を聞いて、10年前に一冊文庫本を読んでみたが、二大巨頭に遠く及ばないどころか、ほとんど魅力を覚えなかった。3年前、ある人から勧められて本シリーズを読んでみたところ、冒頭から予想外の急展開に瞠目し、この作家を見直したものだったが、3冊目まで読んで中断してしまった。この時点でシリーズは40数冊まで進んでいたので、これからのあまりにも長い付き合いを不安に感じたせいもあるだろう。最近、児玉 清のエッセイ本の解説を彼の息子が書いているのを読んだとき、児玉氏が佐伯という作家をずっと前から支持し応援していたことを知った。さらに、その息子はあまり読書をしない人間だったが、父の影響でこのシリーズだけは読んだという。シリーズ4冊目のこの本を私が再び手に取ったきっかけはこういうことだった。この本を読み終わって、50冊以上も続くこのシリーズに付き合ってみようという覚悟が今ようやく心の中で固まりつつある。(平成28年12月)