世界最高のクラシック / 許 光俊(光文社知恵の森文庫)★★
筆者はまず「あまり詳しくない人をいきなり銀座のすし屋へ連れて行くようなもの」という表現で、最高のクラシックを紹介すると述べている。種々のタイプの指揮者を挙げ、その特徴を挙げ、音楽造りの方法、筆者が感動したCD を解説している。最高のクラシックとはいっても、この著者の見解がかなり偏っていると感じられ、賛同できない部分が多い。最高レベルの指揮者を取り上げているが、ただ単に筆者の好みが前面に出ていることが文脈から明らかになっている。とにかくカラヤンは嫌いらしい。好きな指揮者はフルトヴェングラー、チェリビダッケ、アーノンクールなどである。私が共感したところは下記の如し。フルトヴェングラーのベートーベン、ワルターのモーツアルト、チェリビダッケのブルックナー。この本で取り上げておらず、どうしても必ず付け加えなければいけない指揮者がいる。それはカルロス・クライバーであり、彼のオペラとウィンナーワルツは人類の至宝である。(平成28年10月)